2026年5月前半は、連続増配20年超のニュースが立て続けに出た2週間でした。
- 5/9 高速(7504):23期連続増配、2027年3月期 年120円(+4円)、23年で配当12倍
- 5/13 リンナイ(5947):25期連続増配、年106円(+6円)、25年で17倍
- 5/13 芙蓉総合リース(8424):22期連続増配、年172円(+14円)、22年で20倍
- 5/15 栗田工業(6370):23期連続増配、年134円(+22円)、23年で8.3倍
リーマン・コロナ・直近インフレを越えて還元姿勢を崩さなかった証で、観察に値するのは間違いありません。それでも私は4銘柄のどれも買わず、すべて「観察リスト」に置きました。連続増配年数は「観察に値する銘柄」というチケットであって、「今すぐ買う理由」ではないと考えているからです。
※個別銘柄の数値は執筆時点のIR発表およびIRバンク公開データに基づくもので、特定銘柄の取引を推奨するものではありません。
「年数」より先に見る4つの数字
連続増配年数だけで買うと、利回りが低い局面で買ってしまい、買い値の利回りが10年20年のインカムを決めてしまう危険があります。私は高配当株を「タイミング投資」として扱い、年数より先に次の4つを見ます。
買い値の利回り
連続増配30年でも、いま買う利回りが2%なら方針に合いません。銘柄ごとの購入目安利回りを持ち、達するまで待ちます。たとえば「利回り4%以上で買う」と決めておけば、株価が高すぎる局面で手を出さずに済む。暴落や急落は「待っていた仕込み時」で、優良連続増配銘柄が4%を超える数年に一度の場面で買えるかが20年のインカム差を決めます。
配当性向 — 増配余力
DPS÷EPS。私の目安:
- 30〜50%:増配余力あり
- 50〜60%:余力は限定的、注視
- 60%以上:無理して出している可能性を疑う
- 80%以上:次の利益後退で減配リスク
年数が長くても配当性向80%超は「無理して維持」の可能性があり、年数の長さに惑わされず必ず確認します。
自己資本比率 — 還元継続の財務耐性
事業会社では40%以上が安心圏、50%以上で保守的という感覚。ただし金融・リース・不動産は構造的に低いので業種補正が要ります。リース業の13%と製造業の13%は意味が違います。
株式分割を経たDPSの連続性
「20年で17倍」のような見出しは、間の株式分割で額面が動くため見かけの増配ペースが実体と倍違うことがあります。IRバンクで直近10〜15年のDPS推移を見て、ニュースの増配率と分割調整後の実体が一致するか確認します。
4銘柄を観察軸で見る
数値は執筆時点のIR発表・IRバンク公開データに基づき、私の判断ではあるものの特定銘柄の取引を推奨するものではありません。
リンナイ(5947)— 利回り3%水準
年106円(+6円)、利回り約3.0%、配当性向38%、自己資本比率67%、ROE7.3%。財務・還元姿勢は文句なし。分割調整後の実体増配は10年で約3.2倍(年複利10%超)。買っていない理由は単純で、利回り3.0%が購入目安「4%以上」に届かないから。4%到達には3割弱の下落が必要で、その場面まで待ちます。私の「待つ銘柄リスト」上位です。
栗田工業(6370)— 利回り1.5%は遠い
年134円(+22円)、利回り約1.5%、配当性向51%、自己資本比率61%、ROE6.0%。水処理の安定企業。実体増配は10年で2.0倍(年複利7%程度)。連続増配の素晴らしさより利回り1.5%という現在地が決定的で、投資効率は方針から大きく外れます。市場全体が3〜4割下落してようやく利回り2%台後半。観察リスト中段です。
芙蓉総合リース(8424)— 自己資本13%は要注視
年172円(+14円)、利回り約3.9%、配当性向30%、自己資本比率13%、ROE9.5%。実体増配は10年で5.7倍(年複利19%超)と4銘柄で最速。配当性向30%で「まだ伸びる」余地も。ただし自己資本13%はリース業特性とはいえ唯一財務評価が落ちる項目で、金利上昇局面で利鞘が圧迫されやすい。利回り3.9%は買い候補圏に近いが、4.5%圏まで待つほうが安全と見ています。「20年で20倍」の数字に目を奪われず、自己資本13%は別次元で評価します。
高速(7504)— 利回り1.84%は買い候補入りせず
年120円(+4円)、利回り約1.84%、配当性向60%、自己資本比率67%、ROE8.8%。「23年で12倍」には株式分割の影響が含まれる可能性が高く、実体は10年で約4.5倍。財務は問題ないが配当性向60%は「次の利益後退で増配ペースが落ちる可能性」を意識するゾーン。利回り1.84%も目安から遠く、「優等生だがいまは買う場面ではない」が私の見方です。
「待つ銘柄リスト」運用
4銘柄ともいまは買わない判断ですが、観察結果は月次でメンテする「待つ銘柄リスト」に反映します。
- 月1度、保有・候補の利回りを一括チェック
- 銘柄ごとに購入目安利回りを持つ(リンナイ4%、芙蓉総合リース4.5%など)
- 目安到達があれば新規買い・買い増しを検討、なければ何もしない
ドルコスト平均法のように毎月決まった額を買うのではなく、毎月決まった日にリストを見る運用です。買わない月のほうが多いのが現実。暴落時にこのリストが本領を発揮し、還元姿勢が年数で裏付けられた銘柄ほど拾いやすくなります。
買い候補リストの作り方は5軸スクリーニングチェックリストに、観察リスト入り後の買い値ラインの引き方は「目安利回り」で待つ買い値設計に、減配の兆候は売却ルールと減配サインの見極め方にまとめています。同じ観察軸で「急増配×高利回り」を掘り下げた利回り7.8%のスクロールに飛びつかなかった理由と「1年で1.4倍」の落とし穴 — UBE・日本CMK、観察リストの管理口座についてはメイン口座にマネックス証券を選び続けている理由もどうぞ。
まとめ
連続増配20年超は、暴落局面で「業績の戻りを待てる銘柄」を絞るのに役立つ素晴らしい事実です。ただしそれだけで「いま買う理由」にはなりません。私は利回り×配当性向×自己資本比率×分割調整後の増配ペースの4つで「待つかどうか」を決めます。今回の4銘柄は観察リスト入りではあるものの、現時点の利回りでは買い候補圏に届かないか財務面で慎重に見る必要がある銘柄でした。
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※本記事は個別銘柄の取引を推奨するものではなく、私個人の観察と運用方針の記録です。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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