高配当株を始めるとき、最初の関門が「どこの証券会社で口座を開けばいいのか」です。SBI・楽天・松井・マネックス、どれも手数料が安く機能も似ていて決め手がわからない。私もそうでした。

私はいまマネックス証券をメイン口座に使っていますが、最初から「ここが一番」と選んだわけではありません。これは特定の証券会社を勧める記事ではなく、会社員投資家の私がどういう経緯でマネックスに口座を開き、何度か乗り換えを考えながらも使い続けているのかを、使っている機能と不満点の両面から書いた体験記です。証券会社選びで止まっている方が、判断材料を一つ増やすつもりで読んでもらえればと思います。


なぜマネックスだったのか — 消去法から始まった

投資に興味を持ったのは2010年頃でした。身近な人から株で資産が増えたり減ったりする話を聞いて、「相場が動くと自分の資産も動く」と初めて自分ごとにしました。

口座を調べ始めたのはスマホが普及し始めた時期で、私の見た範囲でスマホアプリで株を取引できるのはマネックスくらい。ほぼ消去法で選びました。「各社を比較して一番を選んだ」のではなく「スマホでも触れるのがここだったから」です。証券口座は一度作ると保有銘柄や取引履歴が溜まって動かしづらくなるので、最初にどこを選ぶかは思っているより長く影響します。


高配当株にたどり着くまでの遠回り

最初の数年はうまくいきませんでした。値動きが気になって短期売買を繰り返す、NISAは作ったが何を入れればいいかわからない、手数料の高いアクティブ投信を買う、優待目当てで銘柄を選ぶ。軸がないまま手を出していたので成果につながりません。

転機は2020年のコロナショック。高配当株投資を体系的に解説する発信に出会い本格的に着手しました。相場全体が下げていた局面で、オリックスなどを比較的安く拾えました。高配当株は買ったときの利回りが長期のインカムを決め、優良銘柄が高い利回りで買えるのは市場が悲観に傾く下落局面だけ。「暴落こそ仕込み時」という感覚はこの経験から体に入りました(考え方は暴落を仕込み時に変えるマインドセットの記事に)。

高配当株中心に切り替えてからは、銘柄選びの土台にマネックスの銘柄スカウターを使い、EPS・売上の伸び・自己資本比率などで候補を絞り、ワン株で少額のうちは5〜10銘柄に分散しながら積み増していきました。


一番よく開くのは、銘柄スカウターではなくマネックスビュー

主に使う機能は3つ、マネックスビュー・銘柄スカウター・ワン株です。一番開いているのは銘柄分析ツールではなく、資産管理画面のマネックスビューです。

保有資産を資産クラス別(先進国株・国内株・債券・リート・コモディティ等)に可視化し、いまの配分と月次・年次の推移を積み上げグラフで見せてくれます。高配当株中心に積み増すと国内株や特定セクターに偏るので、その偏りを数字とグラフで定期確認でき、「国内株に寄りすぎ」「現金比率が下がってきた」と全体感を持って運用できます。個別銘柄に意識が向きがちな中で、ポートフォリオ全体の配分を手間なく俯瞰させてくれる点で、地味ですが一番使う機能です。


銘柄探しの土台になっている銘柄スカウター

配当利回り・配当性向・自己資本比率・過去5〜10年の業績推移を、銘柄コードを入れるだけで一覧確認できます。私は毎日張り付くのではなく、月1回ほど保有銘柄や候補を点検する頻度。基本は長期保有で、売るのはよほどの悪材料か、株価が上がりすぎて高配当株と言えなくなったときだけです。

過去10年の業績でスクリーニングする機能もあり、連続増収・増益年数、営業利益率、配当利回り、配当性向、自己資本比率、連続増配年数を組み合わせて絞り込んでいます。具体的な条件設定と、5軸スクリーニングの記事の入門基準との違いは、銘柄スカウターの10年スクリーニングを公開した記事で実際の画面とともに扱っています。

ただ万能ではありません。最大の限界は見ているのが過去の実績だという点。スクリーニングで残るのは過去の数字が良かった銘柄であって、現在の業績・将来の見通し・足元のニュースは教えてくれません。スクリーニングは起点であって終点ではない、というのが私の理解です(鵜呑みの危うさは増配率の数字に飛びついて失敗しかけた話にも)。


ワン株で少額から分散する

ワン株は単元(通常100株)未満、つまり1株単位で買える仕組みです。使う理由は2つ。買付に売買手数料がかからないことと、少額でも複数銘柄に分散できることです。始めた当初はまとまった資金がなく、1株ずつ買えるワン株は少額分散の時期と相性がよかった。

ただし「毎月決まった額を機械的に積み立てる」使い方はしていません。買い値の利回りが長期のインカムを決める以上、利回りが低い局面でもルーティンで買い続けるのは合理性が薄いと考えるからです。ワン株の買い増しは目安利回りに達した割安な銘柄に限って定期的に拾う運用で、割安かのフィルタを先に通してから時間分散している点が無差別な積立と決定的に違います(考え方は目安利回りで買うタイミングを設計する記事に通じます)。

買い増しを続けた結果、いくつかの銘柄は単元(100株)に到達しました。制約や単元化までの流れはワン株でのコツコツ買い増し運用をまとめた記事に。指値ができず約定が寄付に限られるなど不便もあり、少額から始める手段としては優秀ですが万能ではありません。


不満もある — 単元株の売買手数料と、楽天経済圏

何度か他社への乗り換えを考えたこともあるので、正直に書きます。一番引っかかるのは単元株(100株単位)の売買に手数料がかかる点です。近年は売買手数料を基本無料にするネット証券もあり、その点では見劣りします。ワン株の買付は無料ですが、単元でまとまった株数を売買するときは手数料が出るので、楽天証券などに移したくなる瞬間は何度かありました。

もう一つ羨ましいのが楽天証券の楽天経済圏連動です。楽天カードや楽天キャッシュの積立でポイントが貯まる仕組みは、普段から楽天を使う人には魅力的。私自身、楽天証券もサブ口座として使っているので両方を比較できる立場で、ポイント還元の一点なら楽天経済圏の作り込みは確かに強いと感じます。

それでもメインを動かさない理由は、ここまでの機能に行き着きます。資産配分を俯瞰できるマネックスビュー、銘柄選びの土台の銘柄スカウター、十数年で手に馴染んだ操作感。完璧ではないけれど、自分の運用スタイルに必要な道具が揃っている、という感覚です。


投資スタイル別に見た向き不向き

使った範囲での実感で、使っていない機能は正直に「わからない」と書きます。

投資スタイル 私の実感 補足
高配当株でコツコツ 向いていると思う 銘柄スカウターの10年スクリーニングとワン株の組み合わせが効く
米国株がメイン 向いていると思う 取り扱い・ツールともに使いやすい
IPO狙い 評価できない 私はIPOに参加していないので判断材料がない
iDeCo中心 評価できない マネックスのiDeCoは使っていないので語れない
短期売買・デイトレ 向いていないと思う 単元の売買手数料が回転売買と相性が悪い

IPOとiDeCoは、無理に評価すると嘘になるので使っていないからわからない、とそのまま書いておきます。触っていない機能まで持ち上げるのは誠実ではないと考えています。


まとめ — 道具は「自分の手に馴染むか」で選ぶ

証券会社選びは、スペック表で一番を決める作業に見えて、実際は「自分の運用スタイルにどの道具が馴染むか」を確かめる作業に近いと、いまは思っています。私の場合は入り口が消去法で、遠回りの末に高配当株という軸が定まり、その軸に合う道具としてマネックスビュー・銘柄スカウター・ワン株が手元に残った、という順番でした。

これから口座を開く方は、まず一つ作って実際にツールを触ってみるのがいいと思います。スクリーニングの画面、資産配分の見え方、注文のしやすさは人によって合う合わないがあり、私が良いと感じた機能があなたにも良いとは限りません。NISA口座ならマネックスでも売買手数料はかからないので、少額で触って手に馴染むか確かめてみてください。

銘柄選びの基礎を固めたい方は高配当株投資の始め方をまとめた記事から読み始めると、この記事ともつながります。


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この記事はマネックス証券3本連載のハブです。続きの2本もあわせてどうぞ。

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銘柄スカウターやマネックスビューは、口座を持っていれば無料で触れます。配当性向・自己資本比率・過去の業績推移を銘柄コードだけで確認できる環境を一つ持っておくと、銘柄選びの手間がかなり変わります。実際の画面を自分の目で触って、自分の運用に合うか確かめてみてください(口座開設・口座維持は無料)。

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